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Posted by おてもやん at


みなさんこんばんは(^<^)


「我慢」という言葉は、普通「辛抱」、「忍耐」という意味で使いますが、実はもともと仏教の用語だったんですね。


仏教でいう「我慢」とは、自分は他者より優れているという考え、思い上がり、慢心のことをいい、煩悩の1つとして考えられていました。


現代の「自分を押し殺して耐える」といった意味とは、なんだか反対の意味のように感じますが、仏教用語の「我慢」が「我を張る」という意味になり、我を張って自分の弱みを見せないあり方が、「辛抱する」という意味として捉えられるようになったと言われているようです。


「我慢」は、仏教の根幹をなす思想の1つである「唯識(ゆいしき)思想」においては、四つの煩悩の1つとして挙げられています。


唯識思想は、存在するのは「唯だ識のみ」であり、つまり心だけが存在して、心の外に“もの”は存在しないと考えます。
また、心には表層心と深層心があり、その深層心の中に「阿頼耶識(あらやしき)」と「末那識(まなしき)」があるといいます。
そして、心を深層から変革することで自分が変わり、世界が変わると説きます。

【『唯識に生きる』(横山紘一著・NHK出版)より引用】


唯識思想は、空海が著した『十住心論』の中にも出てきます。





表層心には①眼識(げんしき)⇒視覚, ②耳識(にしき)⇒聴覚, ③鼻識(びしき)⇒嗅覚, ④舌識(ぜつしき)⇒味覚, ⑤身識(しんしき)⇒触覚, ⑥意識,という五つの感覚と意識があります。


そして深層心には自我に執着する心である「末那識(まなしき)」があり、そのさらに深い所に瞬間ごとに様々なイメージや言葉、感情を生み出している「阿頼耶識(あらやしき)」が存在すると言われています。


「五感・意識」と「阿頼耶識(あらやしき)」の間にある「末那識(まなしき)」が、四つの煩悩を常に持っていると言われ、それは①自分は何者かを知らない, ②自分は存在するんだという考え, ③自分は他者より優れているという考え,  ④自分は愛しいと考える心, の四つの心のありようのことを言います。
この中の「自分は他者より優れているという考え」が「我慢」ということになります。


これら四つの煩悩に共通するのは、“自分と他者とを区別すること”だと思います。
自他の区別がはっきりあるために、どちらが優れているか、劣っているかという比較が生まれるわけですね。
それでは“自分を愛しいと思うこと“がなぜ煩悩となるのでしょうか?
ちょっと不思議に思いますが、これも自分を愛しいと思い、他者を愛しいと思わないという区別が生まれることに問題があるということですね。


自己への執着を生む「末那識(まなしき)」が煮えたぎってくると、五感と意識の表層心に影響が及び、目で見える相手と自分を区別して、善悪、好き嫌い、敵・味方、美醜(びしゅう)などの判断を下してしまうということになるわけですね。
また物質にこだわり、欲望にとらわれてしまいます。


では、「末那識」よりさらに深い「阿頼耶識(あらやしき)」とはどのようなものでしょうか?
阿頼耶識は私たちの心の一番深い所にある地下水のようなものと言えると思います。
末那識の“自我に執着する心”の影響で五感や意識が刺激され、善悪の判断や欲望に縛られるということをしてしまいます。
その判断や欲望というのは、雨のように滴って、私たちの心の深い所に浸透していき、また地下水が満たされて湧き出し、末那識や五感・意識へと続いていきます。
その循環が続く限り、煩悩にさいなまれるということになってしまうと考えると良いのではないかと思います。


その悪循環から逃れるためには、1つは五感や意識による善悪等の判断や物質への欲望のとらわれを少なくしていくことが大事だと言われます。
さらに、自他の区別をなくしていくことで自我に執着する末那識の勢いを弱めていくことができるといいます。


それらのことに取り組むことで、心の根底にある阿頼耶識の煩悩の種を取り除くことができます。
そうして、束縛されない自由な心で「真の自分」という存在を見出すことができるというのが、唯識思想の目指すところであり、素晴らしいところだと思います。


この地球は二元性の学び舎(まなびや)だと言われます。
唯識思想は、この二元性を超越する、または二元性から脱出するための教えであろうと思います。
自他の区別、善悪等の判断、心が映し出したに過ぎない物質に対する欲望等がつながって“分離や価値判断”をせざるを得ない、まるで「分離・価値判断依存症」とでもいうべき悪循環を生み出してしまうということでしょう。


そう考えると、私たちは「ワンネス」を体感するために、この地球に何度も生まれてきているのかなと思います。




  


Posted by スターエンジェル at 21:33Comments(0)ブログ